2008年12月26日金曜日

帰国します


 エリックの日本での就職が決まりました。来年度から神戸の大学で英語を教えることになりました。というわけで、2月下旬には二人で帰国します。

 振り返れば4年前。二人で将来の計画を立てているときに、エリックが日本で安定した職業に就くのならアメリカの大学に戻って教員の資格を取る必要があると話し合い、このバッファローでの生活が始まったのでした。結婚の約束もどちらかというとロマンチックなものではなく、長期計画に基づいたひとつのステップでした。そして、アメリカで学生に戻ったエリックを経済的・精神的に支えるのが私の役目。数々の手続き、肉体労働による疲れ、ホームシック…。当初2年の計画が4年に延長し、先行きの不透明な時期が続き、夫婦としてのバランスに疑問を感じることさえありまた。決して楽しいだけの新婚生活ではなかったのです。この就職で、私たちの生活はまた大きく変わることでしょう。
 まずはエリックが仕事を始められるよう二人で帰国し、私は後片付け等のため再びバッファローに戻ります。何度か経験してきた引越しも、今回は国をまたぐことになり、ますます入念に準備しなくてはなりません。そして、ここで出会った人たちとの残り少ない時間を大切に過ごしていきたいと思います。

2008年12月23日火曜日

メリー・クリスマス!


 パソコンが修復しました。今回はハードウェアの故障だったため、部品を一部入れ替えてもらいました。一番の痛手は、写真や書き溜めていたエッセイを半分ほど失ってしまったこと。仕事で使うわけではなくても、やっぱりバックアップはすべきだったと反省しています。それから、日本語ソフトのインストールCD を日本から持ってこなかった私を責めもせず、何時間もかけてここまで使えるようにしてくれたエリックには本当に感謝しています。(今日やっと日本語で打てるようになりました。)
 写真は今月上旬から作ってきた私のクッキーです。4種類作るのは大変でしたが、それぞれ形も味も異なるクッキーがひとつのトレイに並ぶ様子はアメリカという国を象徴しているようで、なんだか心楽しくなります。四角いのはジャム・バー、丸いのはメキシカン・ウェディング、型抜きはシナモン・シュガー。そして、ねじり型のレモン・ポピーシード・クッキーは基本の材料をひとひねり考えて自分で創作してみました。
 さて、明日はクリスマス・イブ。先週末から降っていた雪に外の景色は包まれて―実際には自動車の轍(わだち)や足跡等が目立ち、きれいなばかりではありませんが―バッファローは今年もホワイト・クリスマスです。どうぞ、皆さんも楽しいクリスマスを過ごされますように。

2008年12月20日土曜日

Broken

My Computer is broken and on repair.
As for Eric and myself, we are fine.
I will update as soon as I have my computer back.

2008年12月15日月曜日

忘年会


 日本語教室の忘年会を我が家で開きました。生徒+家族に加え、日本人ゲストを2人迎えたので合計で8人。料理は皆のリクエストにより日本食を用意しました。「すし太郎」の散らし寿司、ひと口カツと日本酒。サラダ、デザートは皆が持ってきてくれました。特にひと口カツは、パン粉を付けて揚げる調理法と、2種類用意した味噌・ソースとの組み合わせが珍しかったようで、とても好評でした。
 今年1月に始めた日本語教室も、もうすぐ丸1年です。皆、ひらがな・カタカナと漢字も少し読み書きできるようになりました。会話もシーン別に練習してきたので、あとは実践を積んでいきたいところです。この忘年会には、そんな意図もありました。ゲスト2人の協力もあり、生徒の皆は片言の日本語での会話を楽しんだようです。そして、初めてのかるた遊びも予想以上に盛り上がりました。

写真:以前にサラがプレゼントしてくれた手作りランタン。普段は出番の少ないろうそくも忘年会には華やぎを添えてくれました。

2008年12月10日水曜日

贈り物


 毎年この時期に頭を悩ませるのが、クリスマスの贈り物選び。短期間で全て揃えるのは難しいので、年間通して家族や友達の好きそうな物を見つけるたびに、少しずつ購入しておきます。

アイデア:独身の叔父に
いつも祭日に実家で一緒に食事をする独身の叔父がいます。お互いに好みが分からず、クリスマスも形だけ何かプレゼントを交換するのですが、なんとなく的が外れている感じ。今年は知恵を絞り、形のない贈り物を考えました。それは「たまには3人で楽しい時間を過ごしましょう」という提案。叔父の好きそうな車の博物館を見つけたのでそこに出かけ、夜はお寿司をご馳走する内容で計画しています。

2008年12月4日木曜日

Bless You!


 今、風邪をひいている人が多いようです。私も仕事の忙しい日が続き、「疲れたなぁ」と思ったときにはもう喉が痛くなりかけていました。すぐに手持ちの薬を飲み早く寝たら、幸いそれ以上ひどくはなりませんでした。エリックも学生生活最後の学期終了を間近に控え忙しくしているので、食事面など私も気をつけていなかければなりません。
 そういえば、エリックが以前日本で生活していたときに、日本人のマスクの習慣を珍しがっていました。アメリカでマスクを着けるのは、医療関係の従事者くらい。手術中の医者とか歯科衛生士のイメージです。この日本人の「他人に迷惑をかけないように」という心遣いが、印象深かったようです。
 アメリカでクシャミをすると必ず言われるのが「Bless you!(神のご加護を。)」 よくクシャミをする私は放っておいてほしいと思ったりもしますが、これはこれで人の心遣い。ちょっとしたところにも、文化の違いがあるものです。
      
写真:夜のバッファロー市役所

2008年11月28日金曜日

電車の日


 私の勤める博物館では、今日は Train Day(電車の日)です。地下の一室「電車の部屋」には小さく精巧に再現された町があり、この中を模型電車が走ります。普段から展示自体はありますが、冬の間に期間限定で、ボランティアの人たちが電車を走らせてくれるのです。楽しみにやって来るのは子どもばかりではありません。大きな学生やお年寄りも、顔を輝かせて「電車の部屋」に向かいます。そして、受付が会計を兼ねるギフトショップでは、この頃からプレゼント用の本や雑貨がよく売れるようになります。
 サンクスギビング明けの今朝、我が家でもクリスマス・ツリーを出しました。その下には、包んだ贈り物を積んでいきます。それから、カードを書いてクッキーを焼いて…と、クリスマスに向けてだんだん忙しくなります。

2008年11月22日土曜日

感謝の心


 名古屋の友達から、数週間前にクリスマス・ツリーを出したと聞きました。ハロウィンやサンクスギビングの行事がないとすると、少し早目にクリスマスの準備をしたくなるのかもしれません。バッファローでは、例年通り今月から雪も降り始め、冬の訪れを感じています。日は短くなり、通りも静かになりました。その分、多くの人は暖かい部屋で過ごしているのでしょう。
 そして、忘れてはいけないのが、恵まれない人々のこと。この寒さで衣食住が整っていなければ、どうして生きていけるでしょうか。テレビでは、サイズの合わなくなった子ども用のコートを集めて無料で譲る慈善活動を紹介していました。私たちも大したことはできませんが、不要になった衣類や道具の中からまだ使えそうなものを選び、教会を通じて寄付します。
 来週の木曜日は、いよいよサンクスギビング。(この祭日については、去年11月のブログでご紹介しました。)今年は義姉一家が旅行に出かけるため、実家での集いは大人ばかりの静かなものになりそうです。暖かい部屋で湯気の立つご馳走をいただけることに、改めて感謝したいと思います。

<今日の天気>
晴れ一時雪 …今日は風がなくても寒いです。
最低気温22F(-5℃)、最高気温28F(-2℃)

2008年11月17日月曜日

ひとりでランチ


 ひとりで食べる昼は、大抵残りものなどで簡単に済ませます。でも、これからの季節は身体の温まるものが欲しくなります。スープを多めに作っておいてグリル・サンドイッチと組み合わせると、満足感あるランチを手早く作ることができます。

レシピ:トマトスープ
材料(5人分):たまねぎ1/2個・セロリ1本・にんじん1/2本・にんにく1片…全て刻んでおく、オリーブオイル少々、水煮トマト(まるごと/約840cc)1缶、トマトペースト大さじ1.5、固形スープの素2個、バジル・オレガノ・タイム等のハーブ少々、塩・こしょう適宜、バルサミコ酢小さじ1.5、生クリーム120cc
作り方:水煮トマトを手でつぶし、汁とともにボールに入れておきます。大きめの鍋を中火にかけ、オリーブオイルで野菜を炒めます。ここにトマトペーストと水煮トマトを入れて煮込み、固形スープとハーブを加えます。塩・こしょうで味付けし、弱火で30分。火を止め、荒熱が取れたら、3回くらいに分けてミキサーにかけます。これを鍋に戻してバルサミコ酢と生クリームを加え、もうひと煮立ちさせて出来上がり。

 グリル・サンドイッチは、パンの外側にバターを塗って具をはさみ、フライパンで焼くだけ。チーズにツナやハムを組み合わせて、色んなバリエーションを楽しむことができます。行儀の悪いことと知りながらも、ひとりのランチはついテレビを観ながら食べてしまいます。

2008年11月11日火曜日

灯り


 先週は、誕生日と仲直りのディナーで2度食事に出かけました。どちらのレストランも我が家から車で5分くらい。こんな近くに何軒もお洒落なレストランがあるのは、ありがたいことです。
 誕生日はフランス料理の店。日本語教室の生徒、モーリーンの彼氏がここでウエイターを勤めています。エリックは鴨料理、私は海鮮煮込みをいただきました。一方、仲直りは都会的な雰囲気のレストラン・バー。食事は高級料理の後では少し物足りなく感じてしまいましたが、マティーニはとても美味しかったです。2軒とも印象的だったのは、間接照明とろうそくの柔らかい灯りでした。

<物価ご参考>
 鴨料理 $24.00
 海鮮煮込み $33.00
 マティーニ $6.00

2008年11月7日金曜日

Say Yes


 エリックと喧嘩をしました。「腹が立った」とだけでは表現しきれない、ちょっと大きなものでした。お互いに納得できない状態が断続的に3日続き、残念ながら今年の誕生日は良い思い出になりませんでした。冷静に考えてみると、きっかけは本当に些細なこと。でも、そこで原因を作った方が素直に謝らないと長引きます。過去の失敗を持ち出したりしないで、直接の問題をまずは片付ければいいのです。
 ただ、今回の話し合いの中で、これまで知っていたつもりの「相手がどんなことに不満を感じるのか」が、より明確に見えてきました。エリックが私に不満を感じるのは、どんな提案に対してもすぐに Yesと言わないこと。私としては、前後の状況を踏まえて慎重に返事をしたいだけなのに、エリックにしてみれば、いつも拒否されている感覚を拭えなかったようです。これからは少し意識して、Yesと言ってみようと思います。
 喧嘩中にも関わらず、火曜日には予定通り投票所に連れていってもらいました。実際に投票する仕切りの中までは入れませんでしたが、壁に貼り出してある説明を見て、どんな投票方法か分かりました。当選結果は予想通り。この歴史的な大統領選を目の当たりにできたことは、良い経験になりました。

2008年11月3日月曜日

決戦の日


 いよいよ明日が大統領選の本選挙です。夏に民主党内でヒラリーさんが大統領候補指名争いを撤退してからは、共和党副大統領候補のペイリンさんがメディアを賑わせていました。活発な選挙活動が続けられてきましたが、さて、アメリカ国民の判断はいかがでしょうか。エリックも数週間前に受け取った投票案内を見えるところに置いて、準備万端の様子です。投票所は近所の教会、投票は器械のレバーを押す方法だそうです。(説明してもらってもどんな感じか分からないので、投票所に連れていってもらうことにしました。実際どこまで見せてもらえるかは分かりませんが…。)
 日曜日には Daylight Saving(夏時間)が終わり、時計の針を1時間戻しました。博物館に午後出勤する日は、帰り道が暗くなってしまいます。夏の活気と冬の賑わいの合間の季節。選挙がなければ静かなはずの秋の日に誕生日を迎えます。平日はエリックも忙しいので、週末を待って食事に出かける予定です。

2008年10月30日木曜日

Halloween


 仮装パーティなどを開いてHalloween(ハロウィン)を楽しむ習慣は、日本でも広まりつつあるのでしょうか。少し調べてみたら、もとはカトリックの行事だったということが分かりました。聖晩節の前夜(10月31日)には精霊や魔女が出てくると信じられていたため、仮面を着けたり魔よけのかがり火を炊いたりしたのが始まりだったということです。
 過去3年のハロウィンは大きなアパートに住んでいたので、大勢の子どもがお菓子をねだって我が家の玄関先にもやって来ました。「Trick or treat! (お菓子をくれなきゃイタズラするぞ!)」と言いながら、魔女やお化けやアニメのキャラクターに扮したちびっ子たちが手を伸ばします。大きな兄弟と一緒に来るか、少し離れたところで親が見守るなど、安全対策もできているようでした。
 私たちは今年初めてそれぞれの友人と過ごします。留守でなくても電気を消しておくことが、「我が家は参加しません」という合図。テーマカラーの黒とオレンジ色で飾りつけしたカップケーキをお土産に持っていきます。

2008年10月24日金曜日

冬支度


 今週はぐっと冷え込み、小雨に混ざってみぞれが降りました。これも初雪に数えられるのでしょうか。10月の雪といえば2年前の大雪。バッファロー市内及び近郊で多くの木々が倒れ、停電や断水の不便があったことは未だ記憶に新しいところです。
 3月に引越してから博物館までの通勤が遠くなり、バスを利用していますが、夏の暑さが落ち着いた頃から片道だけでも歩くようになりました。早足で30分あまり。健康促進とバス代の節約で一石二鳥です。雪が積もるようになったら難しくなりますが、日々移り変わる季節を肌で感じられる徒歩通勤は結構楽しいものです。
 家ではクローゼットの半袖を片付け、セーターや手袋を取り出しました。食事も身体の温まるスープやオーブン料理に変わっていきます。冬支度も毎年繰り返されて、少しずつ板についてきたような気がします。

写真:2年前の大雪で倒れた木を利用した彫刻。市内のあちこちで見かけます。

2008年10月19日日曜日

披露宴


 土曜の夜、同僚の披露宴にエリックと二人で出席しました。午後に挙げられた教会での結婚式にも参列したかったのですが、それぞれ仕事があったため、こちらは残念ながら欠席。カジュアルな集いはたびたびあっても、正装でのパーティには何度も招かれる機会がありません。エリックは久しぶりにスーツとネクタイ、私も今回新調したワンピースで出かけました。

アメリカの結婚式
アメリカでの典型的な結婚式は、宗派の教会で家族や友達に見守られて執り行われます。誓いの言葉と指輪を交わし、婚姻届に署名します。神父さんより「本日めでたく結ばれました――夫妻です!」と宣言してもらって完了。披露宴は、貸パーティ会場・レストラン等で行われます。
ウェディングケーキ:初の共同作業となるケーキ入刃は日本と同じ。一番上の段は冷凍保存して、1年後の結婚記念日に夫婦で食べます。残りは切り分けて、披露宴出席者に振舞われます。
ファースト・ダンス:新郎新婦のダンス、新婦と父親のダンス、新郎と母親のダンスを披露するのが伝統です。
お祝い:小切手や現金でお祝儀を出す人も多いのですが、金額は人それぞれ。他には、本人たちが希望する物を贈る方法が一般的です。

2008年10月14日火曜日

菜食主義


 日本では菜食主義者(ベジタリアン)に会ったことはなかったのですが、アメリカに来てから何人かそういう人と知り合いました。義弟マークもその一人です。事務所の月例ミーティングの昼食も、メンバーに菜食主義者がいるため、肉を使わない料理を作るようにしています。

レシピ:キッシュ
材料(4人分):市販の冷凍パイシェル(22cm)1枚、ほうれん草1束、たまねぎ1/2個、刻んだモッツァレラチーズ200CC、卵2~3個、牛乳120CC、生クリーム120CC、バター・塩・こしょう・ナツメグ適宜
作り方:オーブンを180℃に余熱し、パイシェルを室温に戻しておきます。ほうれん草はよく洗い粗く切ります。みじん切りにしたたまねぎとほうれん草をバターで軽く炒め、塩・こしょうで味付けして水分を切り、これをチーズと合わせてパイシェルに入れます。ボールで卵・牛乳・生クリームをかき混ぜ、塩・こしょう・ナツメグで味付けします。卵液をパイシェルに注ぎ、オーブンで50分または軽く焦げ目がつくまで焼き、出来上がり。温かくても室温でも美味しくいただけます。

 菜食主義をさらに徹底する Vegan (ヴィガン)という人たちもいて、彼らは卵や乳製品も食べず、靴やバッグも革製品は使わないそうです。本当に色んな人がいるものですね。

2008年10月9日木曜日

弟を訪ねて 2


 カリフォルニアといえば、国内旅行者の第一目的はワイン。私たちも晴天に恵まれた日曜日には、お弁当を持ってワイナリー巡りをしました。ワインの名所、Napa Valley(ナパ・バレー) Sonoma Valley(ソノマ・バレー)に向かう途中から、辺りの景色は見るからに乾燥しています。この気候とやせた土地では、ぶどうの樹は大きく育つことができません。その結果、小さな樹の小さな実には味と香りが凝縮されて、芳醇なワインが生まれるのだそうです。
 ワインの他には、街で一番人気のクレープやお寿司屋さんではカリフォルニア巻き、オーガニックカフェの具だくさんサラダなど、全てを美味しくありがたくいただきました。一緒に食べて笑って義弟との絆も深まり、満足のいく旅行となりました。

2008年10月7日火曜日

弟を訪ねて 1


 バッファローでは秋も深まり、朝晩は冷えるようになりました。ところどころで紅葉も見かけます。そんな中、金曜から3泊4日でカリフォルニアに行ってきました。乗り換えを含め飛行機で約8時間、時差が3時間。慌しく疲れてしまう旅行になる心配もあったのですが、義弟マークの全面的な協力で、充実しながらもリラックスしたひとときを過ごすことができました。
 マークの暮らす街はデイビス市。彼の通う UC Davis(University of California, Davis / カリフォルニア大学デイビス校)が街の中心を占めています。緑に囲まれた広いキャンパスを3人で歩いたり、マークの友だちも一緒にゲームやバーベキューをしたり、私たちも束の間の学生気分を楽しみました。

2008年9月29日月曜日

若い力


 週末に、紹介で知った国際ボランティアの若者たちが我が家にやってきました。アメリカ国内各地で街頭募金をするために、滞在先を探しているということでした。募金は、HIV感染予防教育の普及を行う南アフリカまでの旅費や医療保険に使われるそうです。事前に連絡を取り合った隊員の一人、日本人の20代の若者がとても礼儀正しく真剣だったので、少々渋るエリックを説得し、食事と宿泊を提供させてもらうことになりました。
 この紹介を受けたとき、自分のイギリスでのボランティア経験をすぐに思い出しました。私の所属していた団体はシステム化されており、内容も身体障害者・高齢者等の直接的な介助を行うものだったので、活動の種類が異なります。ただ、言葉も片言、知り合いもない外国での生活は、私を信じて応援してくれた人々の助けがあってこそ実現できたと思うのです。昔の恩返しをするチャンスだと思いました。
 今回は、若者たちの旺盛な食欲と屈託のない笑顔で、私たちの方が逆にエネルギーを分けてもらった感じがします。次の目的地に向かう彼らを見送りながら、子供を送り出す母親の気分を少し味わいました。

2008年9月24日水曜日

建築家ライト


 1世紀前に活躍していたアメリカ近代建築の巨匠、Frank Lloyd Wright (フランク・ロイド・ライト)。私もインテリアの勉強をしていた頃、特によく耳にする名前でした。日本で帝国ホテルを設計したことは一般にもよく知られているはずです。(愛知県の博物館明治村には、ライト設計の帝国ホテル玄関部分が移築保存されています。)
 先週の金曜の夜、『フランク・ロイド・ライトと日本』というタイトルで、ある大学の教授が公開講義を開かれたので、エリックと二人で聴きに行きました。なるほど、設計図や内装外装のスライドを見ると、彼のスタイルが日本建築の影響を受けていることが分かります。なぜ日本と縁があったのかは、個人的な交流がもとだったということでした。
 バッファロー市内及び近郊にはライトの設計した6邸宅とボートハウスがあり、内2邸は一般公開しています。近くにあると安心してしまい、かえって訪れる機会を逃しやすいものですが、バッファローで暮らす間に見ておきたいと改めて思いました。

写真:1905年設計、2007年竣工のボートハウス。

2008年9月18日木曜日

色づく季節


 少しずつ涼しくなってきました。服装は半袖から長袖に、足元も素足から靴下に変わりました。まだ必要なときがあるかもと思い、出したままの扇風機も、あと1週間ほど様子を見て仕舞おうと思います。
 先日、最近知り合った日本人の奥さんとランチに出かけました。約束の時間に呼び鈴が鳴り、玄関のドアを開けたとき、着古したTシャツとジーンズ姿の自分を恥ずかしく思いました。首都圏出身の彼女はとてもお洒落。さり気ない重ね着とブーツ姿が垢抜けて見えました。コツコツという足音さえ響きよく聞こえるから不思議です。
 スーパーでは鉢植えの菊や装飾用の大きなカボチャが売られ始めました。街の並木もじきに色づき始めることでしょう。今年の秋は、私も少しお洒落をがんばってみようと思います。

写真:寝室隣接バスルームの天窓。空の色と枝の様子が、日ごとに変わっていきます。

2008年9月12日金曜日

秋の計画

 エリックと弟のマークは、兄弟というよりも友だちのような関係。まめにメールや電話で近況報告する親しさは、ときどき羨ましくさえ思います。大学院で勉強中のマークは5つも年下だというのに、彼の落ち着いた人柄とエリックよりもひとまわり大きな体格で、どちらが兄だか弟だか、よく知らない人には分からないかもしれません。
 10月にマークの住むカリフォルニアに行く計画を立てています。ずっと遊びにおいでと誘ってもらっていながら、都合がつかず延ばし延ばしになっていたのです。できるだけ仕事を休まずに行こうと思ったら、土日をはさんで3泊4日が精一杯。国内旅行とはいえ、飛行機で半日もかかる上に時差もあり、現地で過ごせるのは正味2日間です。
 サンフランシスコやヨセミテまで足を伸ばす余裕がないのは残念。でも、マークが暮らす街のいいところをしっかり見てこようと思います。というわけで、今はデイビス市・サクラメント市周辺の名所やレストランを検索中です。

2008年9月7日日曜日

ブランチ


 朝は苦手なエリック。平日はコーヒーと軽めの朝食で済ませ、会話もその日の予定を確認するのが精一杯です。せめて週末はゆっくりしようということで、日曜日はブランチを用意するようになりました。

レシピ:フレンチトースト
材料(2人分):パン(食パンなら厚切り2枚・フランスパンなら8~10センチ程度)…少し乾燥した状態のもの、卵1~2個、牛乳適宜、砂糖大さじ1、バター適宜、シナモン少々、はちみつ・メープルシロップ等
作り方:食パンの場合は扱いやすいよう、半分か4分の1に切っておきます。フランスパンは厚さ2センチ程度に切ります。ボールで卵・牛乳・砂糖を混ぜ、ここにパンを浸します。パンの乾き具合や好みで卵と牛乳の量を調整してください。フライパンでバターを溶かし、中火で両面に軽く焦げ目がつくまで焼きます。皿に盛り付け、シナモンをふりかけて出来あがり。はちみつやメープルシロップはテーブルに並べます。

 朝昼兼用のブランチは、11時頃テーブルに着けるように用意します。フレンチトーストにベーコンとサラダやフルーツを添えるのが我が家の定番。いつか自分たちの家を持ち、日陰のテラスでブランチするのが私の夢です。

2008年9月2日火曜日

夏の終わり


 先週からエリックの新学期が始まり、私も新しい勤務スケジュールが始まりました。私たちが管理人を務める事務所も、7月8月は従業員が交代で休みを取り比較的静かだったのですが、また皆が揃い活気が戻ってきました。この2ヶ月間ほど雨が多かった反動か、今になって晴天が続いています。エリックは夏休み中一度も芝生に水をやらずに済んでいたのに、新学期で忙しくなってから2日に一度のペースで水やりをしています。
 少しずつ日も短くなってきました。夏の終わりのさみしさを感じながらも、カラッと乾いた天気のおかげで、気持ちよく新しい季節を迎えられそうです。

写真:PEIで購入した地元アーティストの版画。どこに飾るかはまだ決めていません…。

2008年8月26日火曜日

PEI の思い出 3


 PEI で私たちが楽しんだのは、アンとロブスターばかりではありません。その昔フランス人とイギリス人による領土争いが始まる前から、ずっとあった海と赤土と緑の自然。道路など今ではもちろん島民や観光客の便利なように整備されているものの、変わらない魂の強さを感じます。
 ガイドブックで見た水の上の遊歩道を歩いてみたくて、エリックに車を走らせてもらいました。朝から肌寒く、あいにくの曇り空。駐車場から野原を通り、林を抜け、やっと遊歩道にさしかかる頃には強風に加えて霧のような雨が降り出しました。帽子と傘はあきらめてそのまま先に進み、行き着いた先は荒海。雨も風も波も自然の一面だと思ったら、苦にはなりませんでした。

 「この人と一緒にいれば、一人でいるよりも世界が広がる。」
エリックとの結婚を決めたときの気持ちを思い出しました。結婚記念日のイベントとしても、また新しい土地を訪れる冒険としても、今回の旅行は大成功だったと思います。

2008年8月24日日曜日

PEI の思い出 2


 島に滞在中は、毎日ロブスターを食べました!予算は限られているので、まるごと食べたのは1回だけですが、スープやパスタやサンドイッチを注文するときにも、ロブスターが入っているものを選びました。
 宿泊は Victoria (ビクトリア)という小さな村の民宿。ここから2分も歩けばもう海です。初日に食事をした海辺のレストランで、ウエイトレスさんに手頃な価格でロブスターを食べられるところを聞きました。
「聖アン教会の Lobster Supper (ロブスター定食)がおすすめ!」
 やっぱりクチコミ情報は頼りになります。田舎道を運転し、たどり着いたのはモダンながらに質素な教会。この地下の食堂で写真のロブスターをいただきました。美味しかったことは言うまでもありません。ここのウエイトレスさんに、なぜ教会でロブスター定食を出しているのか尋ねたら、もとは献金を募る目的で始めたということを教えてくれました。

<物価ご参考>…通貨はカナダドル、価格はだいたいの情報です。
ロブスター定食一人前(ムール貝の前菜・スープ+パン・サラダ・ロブスター1尾・デザート):$45.00
追加ロブスター1尾:$15.00

2008年8月22日金曜日

PEI の思い出 1

 
 昨夜11時過ぎに帰宅しました。今日は朝から私は洗濯、エリックは大学に出かけました。PEIPrince Edward Island プリンス・エドワード島)で過ごした4日足らずの休日は、観光・グルメはもちろんのこと、地元の人々と出会い自然と触れあい、とても充実したものでした。

 まず訪れたのは、『赤毛のアン』の舞台 Green Gables (グリーン・ゲイブルズ=緑の切妻屋根)。物語のイメージそのままの家を見ると、アンが実在の人物ではなかったことをつい忘れてしまいます。数々の道具や部屋のしつらえに垣間見る100年前の素朴で丁寧な暮らしぶり。何でも手作りする時代には不便も多かったことでしょうが、ものを大切にし自然を慈しむ心は逆に豊かだったように思います。
 旅行前に読み終えることのできなかった原書を、これから時間をかけて読んでいくつもりです。この島の海と赤土と緑に囲まれた景色を思い浮かべながら…。

2008年8月15日金曜日

ブルーベリー狩り


 この間の日曜日、バッファロー郊外の農場にブルーベリー狩りに行きました。今にも雨が降り出しそうな曇り空の下、義父母と4人で急いで摘むこと約1時間。家に帰ってから、数日中に食べる分を除き、小袋に分けて冷凍しました。来年の夏までの間、少しずつミルクシェークやマフィン・パイなどに使う予定です。
 さて、来週はいよいよプリンス・エドワード島です。この数週間は、エリックと二人で『赤毛のアン』のDVDを観たり、インターネットで現地の天気を確認したりして、気分を盛り上げてきました。少し涼しいようなので、長袖の服を持っていくつもりです。

<今日の天気>
バッファロー:晴れ、ところによりにわか雨 最高気温24℃ 最低気温14℃
シャーロットタウン(プリンス・エドワード島):最高気温23℃ 最低気温15℃

2008年8月9日土曜日

グリーンカード


 1年も前から更新申請をしていたグリーンカードがやっと届きました。初回発行は2年間、2回目以降は10年間の有効期限です。昔は紙のカード自体が緑色だったようですが、今では鏡面仕上げの樹脂製。表には顔写真・指紋・出身国・生年月日などが記載されています。裏は謎の黒光り。さすがに、これは偽造できそうにありません。
 結婚するときに、国籍がどうなるのかが疑問でした。「アメリカ人になるの?」と聞かれたこともあります。国籍とは、市民としてどの国に属しているかということ。私は今も日本人(=日本国籍)です。アメリカでは外国人だけれど、アメリカ人と結婚してこちらで生活しているので、永住権を認められているわけです。
 グリーンカード申請には、自分が合衆国居住者としてふさわしいことを証明する数々の書類や証拠物が必要です。夫婦揃っての面接もありました。9・11以降は特に手続きが面倒になったということです。でも、逆の立場―自分の国を侵略者から守る立場―だったら、慎重になるのは当たり前のことなのかもしれません。

写真:先立ての Garden Walk で見かけた木。住人に木の名前を聞いたら Smoke Tree (煙の木!)と教えてくれました。

2008年8月3日日曜日

ほんの気持ち


 先日、博物館のイベントで受付をしたときのこと。ちゃんとしたクロークはないのですが、荷物を預かって欲しいという人がいました。「机の後に置いて、私が見ておきますよ」と対応。数時間後に荷物を取りに戻ったその紳士は、イベントに出されていたカップケーキを持ってきてくださいました。直径3センチほどの小さなカップケーキはきれいに飾られ、ひとつでも十分な甘さでした。
 別件で、博物館にエリックと親戚の一行を連れて来たときのこと。その日予定されていた館内ツアーが突然キャンセルされ、皆を招待した私の立場がなくなってしまいました。ちょうど居合わせたボランティアのガイドさんに即興のツアーをお願いしたところ、快く引き受けてくださいました。エアコンがなく蒸し暑い中、声がかれるまでの熱心な説明でした。後日、上司にそのガイドさんの住所を尋ね、お礼状に折鶴を添えて送りました。
 自分が親切で何かをするとき、見返りを求めているわけではありません。でも、無欲で心を尽くしてもらったときには、感謝の気持ちを伝えたいものです。(これがレストランでウエイトレスに渡すチップの本来の意味でしょう。)「ほんの気持ち」を伝える方法は、色々あるのではないかと思います。

2008年7月28日月曜日

Garden Walk


 週末に Garden Walk Buffalo という催しがありました。地域住民が家(外観)と庭を一般公開するもので、人々は地図とカメラを片手に参加家庭を回ります。外壁の色・ドアのデザインなどで個性を表す建物と、色とりどりの花・珍しい木・陶器銅器の置物などで飾られた庭の数々。二軒と同じ家はありません。昨日(日曜日)は天気も良かったので、私たちも1時間あまり市内の散策を楽しみました。
 夜に日本の母より電話があり、碧南はこの夏も猛暑だということを聞きました。庭と畑のある実家では、雨の少ない年は朝晩の水やりが大変だということを知っています。今年のバッファローの夏は日本の梅雨時のように雨が多く、街中の並木や芝生が青々としています。日焼けの心配は少なくて済むのですが、ギラギラ元気な太陽を恋しく思ったりするのは、ある意味贅沢といえるでしょうか。

<今日の天気>
晴れのち曇り、午後より雷雨のおそれ
予想最高気温80F(27℃) 最低気温62F(17℃)

2008年7月22日火曜日

タトゥー


 私の日本語教室で一番積極的な生徒、モーリーン。「あいうえお」の発音練習をするときも、フラッシュカードで単語を覚えるときも、誰より大きな声を出します。職業は美容師で、髪を赤く染め、腕や脚にタトゥー(入れ墨)があります。その彼女が最近こんなことを言っています。
「息子と二人で日本に旅行するために、貯金を始めることにしたの!」
「日本に行ったら、温泉に入りたいワ!」
 授業中に上る話題をもとに、日本文化を紹介するようにしています。モーリーンが温泉のことに触れたとき、一瞬迷ったのですが、入れ墨について話すことにしました。
「日本人の入れ墨は、アメリカ人のタトゥーとは少し意味が違うんですよ。消すことのできないところから、大きな覚悟の象徴となっているようです。最近の若者の間では、ファッションやアートとしても受け入れられつつあるようですが、根強い印象は入れ墨=ヤクザ。公共の温泉やプールでは、『入れ墨お断り』と表示してあるところもあるので、少し意識して行ったほうがいいかもしれませんよ。」
「えー!!」
 私の説明に少し気持ちをくじかれたように見えたのに、翌週また元気よく授業にやって来た彼女でした。ぜひ、日本への旅行を実現してもらいたいものです。

2008年7月14日月曜日

WALL・E


 昨日はエリックの試験明けの日曜日。全米で今一番人気の映画『WALLE(ウォリー)』を観にいきました。義父母や同僚からも、とても良かったと聞いていたのです。この映画は期待を裏切りませんでした。
 舞台は未来の地球。1匹のゴキブリを友に、ひとり働き続けるロボットのウォリー。ある日、単調な毎日を劇的に変えてしまう出会いがあります。それから…とストーリーを書いてしまいそうですが、まだ映画を観ていない人の楽しみを損ねるようなことは止めておきますね。YouTubeでもビデオクリップがたくさん出ているので、興味のある人は見てみてください。
 日本でも12月に公開予定のようなので、ぜひ皆さんにもおすすめしたい1本です。

2008年7月9日水曜日

元気なパセリ


 春の暖かいときに花壇に植えたパセリとバジル。その後、寒い日があったり雨やヒョウに合ったりして、葉のやわらかいバジルは茶色く縮んで枯れてしまいました。一方、パセリは元気です。青々と育ち、小さな鉢植えで買った頃よりも10倍くらいに増えました。

レシピ:トマトパイ
材料(4~8人分):市販の冷凍パイシェル(直径22cm程度)1枚、トマト(大)2個、モッツァレラチーズ(刻んだもの)240CC、パセリ(みじん切り)大さじ1、にんにく2片、タイム大さじ1、オリーブオイル大さじ2、マスタード(マイルド)適宜、塩・こしょう少々 *タイム(ハーブの一種)は手に入らなければ無くてもかまいません。
作り方:オーブンを200℃に余熱しておきます。トマトは7mm程度にスライスし、塩をふりかけて少し置き、ペーパータオルで水分を拭き取ります。室温に戻したパイシェルの底と側面にマスタードを塗り、チーズを入れます。その上にトマトのスライスをチーズが隠れるように重ねて並べ、オーブンで40分。みじん切りにしたパセリ・にんにく・タイムにオリーブオイルを混ぜ、塩・こしょうで味付けをします。焼きあがったパイの表面にパセリの混ぜものを塗り、できあがり。熱いままでも、冷やしても美味しくいただけます。

 このトマトパイはパスタサラダ(マヨネーズ味)とよく合い、先月のミーティングの昼食でも大好評でした。うちの元気なパセリは、お皿の上の飾り付けだけでなく、色々な料理に活躍してもらえそうです。

2008年7月3日木曜日

夏の計画


 前にも書きましたが、来月3度目の結婚記念日を迎えます。去年も一昨年も、いつもより少し贅沢な食事をしたくらいで特にイベントはなかったので、今年は二人で旅行しようと私から提案しました。
 行き先はカナダのプリンス・エドワード島。小説『赤毛のアン』シリーズを世界に送り出した、カナダ東海岸に浮かぶ小さな島です。バッファローから車でトロント入りし、ここから飛行機を乗り継いで行く予定。現地でどんなことをしようかと情報収集していたら、今年は小説の初出版からちょうど100周年だということを知りました。アンゆかりの土地を訪ね歩いたり、ミュージカルを観たり、特産品のロブスターを食べたり…。想像の中で、旅はすでに始まっています。
 映画も音楽も好みの一致しない私たちが共通して楽しめることは、旅行と食事。道中のハプニングも含めて、たくさん思い出を作ってきたいと思います。

写真:私の『赤毛のアン』コレクション。人形は勤め先の博物館のギフトショップで見つけました。

2008年6月27日金曜日

経験

 管理人の仕事のひとつに、月例ミーティングの昼食を10人分作るというものがあります。初めは何を作ろうか、どう段取りしらたいいのか、勝手が分からず一人であたふたしていました。条件は、ベジタリアン(菜食主義)のメニューにすることと、なるべく予算を抑えること。考えてみれば、いつもの我が家の料理を増量して作るだけなので、そんなに構える必要はありませんでした。
 初めての4月のメニューは、3種類のサラダとピタパン。5月はタコスとベークドビーンズ。今月のパスタサラダとトマトパイを作りながら、すっかり落ち着いている自分に気付きました。もともと料理は好きなので、「美味しかったよ」「あなたのランチのおかげで、ミーティングを楽しみにするようになったよ」などと言われれば、張り合いがあります。デザートは作っても作らなくてもいいのですが、これも腕の試しどころ。作り慣れているものも初挑戦のものも、皆の顔を思い浮かべながら用意します。
 昼食のプランを立てるときに思い出すのは、老人ホームでのウエイトレスの経験。どんな料理が人気だったかとか、コックさんの盛り付けテクニックなど、参考になることがたくさんありました。ウエイトレスは辛い仕事だったけれど、今こうして自分の知識として活かされています。何事も経験だな、と改めて思いました。

2008年6月22日日曜日

ウェディング・クッキー


 自分で作るクッキーのバラエティを増やそうと思いレシピを検索していたら、6月にぴったりのものを見つけました。本当は三日月型にするところを、今回は少し手抜きで丸く作ってみました。

★レシピ:メキシカン・ウェディング・クッキー
材料(30個分):バター240ml(225g)・粉砂糖120ml・小麦粉420ml・ピーカンナッツ240ml(くるみでもOK)・バニラエッセンス少々 *粉類も全て計量カップで計ります。
作り方:オーブンを140℃に余熱します。バターを室温に戻し、ナッツを細かく刻んでおきます。ハンドミキサーで粉砂糖・バター・バニラエッセンスを混ぜ、滑らかになったところに小麦粉を合わせます。ナッツを手早く混ぜ、小麦粉をまぶした手で大さじ1杯ほどの生地を三日月型に整え、オーブンで40分。クッキーがまだ温かいうちに粉砂糖(定量外)をまぶして、できあがり。

 以前、義母がルシアン(ロシア)・ウェディング・クッキーを作ってくれたときも、形は球状で同じ味でした。職場に持って行ったら、「これはギリシャのお菓子ね」という人もいて、どの国で始まったのか定かでなくなりました。ウェディングというのは、白い粉砂糖がドレスを思わせるから…?サクサクッと軽い歯ごたえのこのクッキーは、もう一つだけと思いながら、つい食べ続けてしまう美味しさです。

2008年6月16日月曜日

手作りの味


 少し自分の時間を持てるようになり、気持ちにも余裕が出てきました。そうすると、新しいレシピを試したり、手芸で何か作ってみたくなったりします。今月はちょうどサラさんの誕生日だということを知り、一緒に習っているヨガ教室で使うマットレス用のバッグを作ってプレゼントすることにしました。ずっとお休みしていたヨガ教室に再び通い始めた頃、腰痛に悩む彼女を誘ったのです。
 日本から和風の布地を少し持ってきていたので、これを使うことにしました。自分でデザインを考えたものを仕上げる満足感は、既製品を手に入れる喜びとは、ひと味違います。このバッグに手作りクッキーを添え、オレンジ色のうす紙とセロファンで包んで渡しました。
"You are so sweet!" (「なんて気が利いてるの!」)
目の前でプレゼントを開け、満面の笑顔を浮かべたサラさんは、こう言って大きなハグ(抱擁)をくれました。

2008年6月9日月曜日

田舎暮らし


 義父母はバッファローから車で1時間ほどの田舎に別荘を持っており、毎年暖かくなると夫婦で移住します。緑の丘の連なるその土地は市街地よりも少し涼しく、豊かな自然に囲まれています。市内に勤務する義父は、毎日往復2時間の通勤。これは田舎暮らしの楽しみがあるからできることでしょう。
 私たちも、ときどき呼ばれて遊びに行きます。畑の草むしりや野菜の世話を手伝った後は、義母の手料理がいっそう美味しく感じます。それから、とっておきのデザートはS’more(スモア)。夕食の後、拾い集めた枯れ枝で焚き火をしながら、串を使ってマシュマロを焼きます。これを板チョコと一緒にクラッカーでサンド。マシュマロがとろり、チョコレートも一緒に溶けたところをいただきます。大人4人で子どものような顔をしてS’moreをほおばっていたら、すぐそこを野鹿が横切っていきました。

2008年6月4日水曜日

フラットウェア


 うっかりご報告しそびれていましたが、先月、3年目の法的婚姻記念日を迎えました。家族や友だちと一緒に祝った結婚式は8月だったので、こちらを結婚記念日として、私たちも夏には何かイベントを考えたいと思います。
 結婚したときには欲しいものが沢山あったけれど、「仮住まい」のアパート暮らしだったために、最低限のものを揃えただけでした。主婦業を数年経験して気付いたことは、欲しいものは変わっていくということ。必要なものは変わらないということ。「あればいいな」は大抵無くても済むし、そのうちにそんなものが欲しかったことすら忘れてしまいます。
 必要に思っていながら揃えられずにいたもののひとつが、フラットウェア(ナイフ・フォークのセット)とこれを収納するケース。実は、ずっと義母の予備セットを使わせてもらっていたのです。フラットウェアは、去年、ナイアガラのアウトレットモールで気に入るものを見つけて購入しました。そして先月、結婚4年目にして、やっとケースを手に入れました。真新しいナイフやフォークをケースに仕舞うことの感激。こんな風に、時間をかけて一つずつ揃えていくのも悪くないなと思いました。

2008年5月29日木曜日

Cold Stone


 私たちの月に一度の楽しみは、アイスクリーム。市内に Cold Stone Creamery というお店があり、ここには行くだけでワクワクするような、色んな種類のアイスクリームとトッピングがあります。客層も家族連れから若者カップル、渋いスーツを着た男性までいて、とてもカラフルです。
 今回私たちが注文したのは、スイートクリームとチョコレートのアイスクリームにブラウニーを混ぜてもらったもの。お店の名前の通り、冷やした石の上で混ぜてもらうのです。値段が少し高め(Mサイズで$3.99)なのと、こんなにこってりしたデザートを頻繁に食べては身体によくないと思い、「月一(つきいち)ルール」を決めました。
 二人でひとつのアイスクリームを食べながら、次はどんな組み合わせにしようか話し合うのもまた楽しみです。ブラックチェリーとチーズケーキのアイスクリームにグラハムクラッカーを混ぜても美味しそうだし、コーヒーとシナモンのアイスクリームにアーモンドを入れても美味しそう。こういう時の私たちは、きっといい顔しているに違いありません。

2008年5月23日金曜日

バス通勤

 エリックの足の石膏が外れて自分で運転して出かけるようになり、私のバス通勤が始まりました。とは言っても、できるだけ送り迎えをしてもらうので、週に1度片道だけの利用になります。乗るときに料金を前払いし、降りたい停留所が近づいてきたらブザーを鳴らして運転士に知らせる方法は、日本と同じです。いつもの通りも、バスの窓から見ると違った景色に見えるのは、気のせいでしょうか。
 アメリカでもガソリン価格が上昇し続けています。義父は通勤用の車をハイブリッドカーに買い替えました。間接的には、食料品も少しずつ高くなってきているし、郵便料金もこの3年間で3度値上がりしました。自分の都合で自由に車に乗るのは、とても便利なこと。でも、家計だけでなく環境のことも考えたら、これまで当たり前だったこと―1人1台の車―を見直すのは、まだ遅すぎるわけではないと思います。
 この季節は外を歩くことも気持ちいいので、今はこんな風に言いながらも、冬になったら、やっぱり車を手放せなくなるのだと思いますが…。
<物価ご参考>
バス近距離片道料金:$1.50
レギュラーガソリン1ガロン(3.785リットル):$3.99
国内普通郵便:42¢

2008年5月17日土曜日

季節限定


 前回、花粉症のことを書きながら、どうも背中がぞくぞくするので熱を計ってみたら、38度もありました。花粉症と同時に風邪をひいていたようで、先週末は家事もほどほどに大人しく過ごしました。風邪をひくとすぐに発熱してしまう私ですが、唯一の救いは食欲の無くならないこと。(笑)栄養のあるものをしっかり食べてぐっすり眠れば、数日で調子が戻ってきます。
 今の季節は新鮮な苺がスーパーで安く手に入るので、毎週必ず買ってきます。ビタミンCの豊富な苺はそのままでも美味しいし、バニラアイスの上に並べてチョコレートソースをかければ立派なデザートに。そして、わが家では季節限定の味わいとして、ミルクシェークを作ります。苺と牛乳とプレーンヨーグルトにはちみつを少し加えて、ミキサーで数十秒。冷凍庫には、去年摘んだブルーベリーとブラックベリーがあるので、これらを凍ったまま加えれば、半シャーベット状の仕上がりになります。これが私たちの朝食です。
 さて、今日は午後の出勤の前に、家の掃除をしておきましょう。

2008年5月9日金曜日

花粉症

 今年も始まりました。毎年5月6月と一番気候のいいときに、天気が良ければ良いほど、症状が重いのです。今日は久しぶりに同僚のサラさんとアフター5の予定があったのですが、あまりのひどさに約束をキャンセルさせてもらうことになりました。
 さて、今週の火曜日にエリックの足の石膏が外れました。ただ、すぐに骨折する前と同じように歩けるわけではありません。実はちょうど引越した頃、この夏エリックが遠方で仕事(単身赴任)をするという計画があり、もし実現していたら明後日の出発予定でした。他の心配事もあり結局あきらめてもらいましたが、彼の歩く姿を見ると、やっぱり無理だったと思います。
 テレビの天気予報でも、日本と同じように花粉情報を発表しています。今の季節のバッファローでは、樫の木・メープル(楓)の木などが花粉を飛散させているそうです。

<私の好きな一節>
「神よ、われに平静を与えたまえ
変えざるものを受容するために。
変えうるものを変える勇気と
その相違を悟るための知恵とを。」
D.カーネギー『道は開ける』より

2008年5月5日月曜日

タコス


 今日は日本ではこどもの日。アメリカのカレンダーに慣れてしまったので、ゴールデンウィークのことはすっかり忘れていました。バッファローでは桜が半分散ったところで、まだ春という感じがありますが、日本はもう初夏の陽気でしょうか。
 5月5日にこだわって、今日のわが家の夕食はタコスとコロナビールにしました。このメキシコ料理を自分で用意するようになったのは、アメリカに来てからのことです。スーパーでタコスを作るための材料がパッケージで売られているので、とても簡単。牛ひき肉を炒めたものとチーズやアボカドなどを、小麦粉の皮で包んでいただきます。日本の手巻き寿司と同じ感覚でしょうか。
 Cinco de Mayo(シンコ・デ・マヨ:スペイン語で5月5日の意味)とは、メキシコの歴史に基づいた記念日だそうです。バーやレストランでは、きっと大騒ぎしているに違いありません。移民の多い合衆国では、色々な国や宗教にちなんだお祭りがあります。こうした料理や家々の飾りつけなどにもひとつずつ意味のあることを知れば、こちらでの生活をもっと深く楽しんでいける気がします。

2008年4月29日火曜日

花冷え


 しばらく晴天の暖かい日が続き、バッファロー市内のあちこちで桜の咲いている景色を見かけて懐かしく思っていましたが、今になって少し肌寒くなりました。この寒の戻りを花冷えというのでしょうか。花壇に植えたパセリとバジルも寒風にふるえているので、大きなゴミ袋を切り開いて覆ってやりました。これは、日本の母が畑の野菜を世話する様子を真似してみたことです。
 今週でエリックの大学の2学期も終わり、来週には足の石膏も外れる予定です。ようやく少し落ち着けそうかな…。2月以降は、買物も料理もゆっくりできていなかったので、まずはこれから再開したいと思います。

写真:事務所の脇にある枝垂桜の木。時間ができたら、この芝生で本を読んでみたいと思います。

2008年4月20日日曜日

4年目の春


 ここ一週間ほど暖かい日が続いています。この家の小さな花壇にも、以前から植えられていた水仙が咲きました。チューリップもつぼみをふくらませています。主婦としては実用的なものも欲しくて、パセリとバジルを植えてみましたが、ちゃんと育つでしょうか。
 さて、今日で私のアメリカ生活も丸3年。初めの頃の「外国にいる」という感覚は薄れ、バッファローを「地元」と思えるようになってきました。英語はそれほど上達したとは思えないものの、必要なときにハッキリ言える、能力というよりも度胸が付いたと思います。
                       ・・・
 皆さんからいただくメールや手紙は、いつもありがたく読ませてもらっています。ただ、今は自分のことも仕事のことも色々あって、申し訳なく思いながら、お返事できていません。時間がないというよりは、心に余裕がなく、どうしても書けないのです。落ち着いて気持ちを整理できた時にはお便りしますので、今はどうかこんな私を許してください。

2008年4月13日日曜日

忙しいときは


 引越以来バタバタしていて、ゆっくり料理ができていません。週に数回は外食かテイクアウトになってしまいます。こういう時のために、簡単で栄養バランスの良い料理のレパートリーを増やしておく必要があると痛感しています。

★レシピ:レモン・サーモン
材料(2人分):鮭の切り身2片(塩鮭ではないもの)、スライスレモン2枚、バター適宜、塩・こしょう少々
作り方:30cm角くらいのアルミ箔の上で鮭の両面に塩・こしょうをふりかけ、スライスレモンとバター(1切れに対し小さじ1くらい)をのせ、水分が逃げないように包みます。蒸し器で20~25分。お皿にはアルミ箔のまま盛り付け、自分で開いてアツアツをいただきます。
★レシピ:コールスロー
材料(2人分):キャベツ1/4個、にんじん1/4本、赤たまねぎ1/8個、市販のコールスロードレッシング適宜
作り方:キャベツは千切りに、にんじんと赤たまねぎはみじん切りにします。ボールで材料を合わせておき、盛り付ける直前にドレッシングで和えます。

 こちらでは、魚料理にはコールスローやポテトサラダを組み合わせるのが定番。さっぱり風味のレモン・サーモンとしゃきしゃきのコールスローは、作るのも簡単で、私たちも大好きなメニューです。

2008年4月7日月曜日

赤い椅子


 先月のこと、隣のペンシルベニア州まで泊りがけで買物に行き、ラブシート(二人掛ソファ)と肘掛椅子を手に入れました。今回私たちが選んだIKEAの家具は、自分で引き取り・組み立てをするのが基本。その代わり、良心的な価格設定になっています。IKEAの店があるピッツバーグまで、義母の車にレンタルのトレーラー(貨車)を付けての長距離運転は、想像通り大変でした。でも、今こうして赤い椅子を中心に部屋が整ってきたら、遠くまで買物に行った甲斐があったと思います。
 煉瓦の壁には、以前インターネットで見つけて購入しておいた額を掛けました。無機質なブラインドの窓には、前のアパートで使っていたカーテンをなんとか利用し、少し雰囲気が和らいだと思います。引越しは大変でしたが、新しい住まいを自分なりにコーディネートできることは、楽しみたい部分です。
 さて、先週の診察で、エリックは石膏を交換してもらいました。これが外れて運転できるようになるまでに5週間。(石膏を付けた状態での運転は違法です。)せっかくの新しいソファにゆっくり座るひまもありません。色々ありますが、できるだけ明るい気持ちで暮らしていきたいと思います。

2008年3月27日木曜日

ひとつずつ


 あっという間に3月が終わりそうです。つい先週まで雪が降っていたのに、今日は雨。この数週間は気持ちに余裕がなくて、ゆっくり周りを見渡すこともできずにいたら、いつの間にか春の気配が漂っていました。
 住まいの方は少しずつ片付けて、なんとか居心地よくなりつつあります。実は、前任の管理人さんが屋内で動物を飼っていた上、あまり掃除をしていなかったらしく、引越前はかなりひどい状態だったのです。義母がプロの掃除屋さんを手配してくれたので、2日間自分たちも一緒になって床から壁から洗剤を使って掃除しました。(エリック骨折前のこと。)それでも初めの頃は、なんとなく空気も汚れている感じがして気持ち悪かったのですが、ファブリーズを数本使い果たし、まめに風を通して、やっとちゃんと呼吸できるようになりました。新しい家具も買い足し、以前は飾る場所のなかった額も出してみて、インテリアも自分らしさを出せそうです。こうして住まいが整ってきたら、自然と心も落ち着いてきました。
 エリックの骨折は、回復までにはまだまだ時間がかかりそうです。何かと不便ながら、毎日の生活を回転させていかなくてはなりません。「あせらないで、ひとつずつ」と、自分に言い聞かせています。

写真:荷物を入れる前のダイニングの様子。壁は本物の煉瓦です。椅子とテーブルはこの家にあったものを借りることになりました。

2008年3月21日金曜日

健やかなるとき

 喉と胃と腰が痛い…。頭痛と肩こりに加えて。
 今までの生活が少しラクだったのかなと思いました。仕事は週3日のパート勤務で、家事は大人2人分。日本語教室も週に1回だけのこと。気持ちはいつも忙しくても、自分の予定をこなしきれない日はありませんでした。
 引越完了間際にエリックが骨折してからは、山積みのダンボール箱と一人格闘し、行き帰りで2時間かかる大学までの送迎と初めての管理人業で、もう身も心も擦り切れそうです。このストレスに耐えられず、ケガ人に当たり散らしては、しまいに声をあげて泣き出す始末。この一週間はひどい有様でした。
 そんな中、ふと心に浮かんだのが結婚式の誓いの言葉。「健やかなるときも、病めるときも、これを愛し、助け…。」そう。夫婦なんだから、毎日一緒に暮らしているのだから、色んなことが起こるのは当たり前。時にはお互いに腹を立てながらも、相手を許し助け合って、家族としての絆を築いていくものだと再確認できた気がします。
 そうはいっても、まだこの困難期を乗り越えたわけではありません。家の中が片付き、エリックの石膏が外れたら、きっと少しは健やかな気分に戻れると思うのだけど。それまでは、薬とビタミン剤を飲んでがんばります。

2008年3月14日金曜日

あぁ無情


 クタクタです。いろいろな事情があり、今日(金曜日)からやっと新居で寝泊りすることになりました。
 今週は月曜日にピッツバーグまで買物に行き、火・水と大掃除の後、エリックの友だちが来てくれて家具の並べ替えをしました。昨日の木曜日からこちらで暮らせると思っていたのですが…。水曜の夜、実家で居候生活最後の夜を過ごすために新居の玄関を出たところで、エリックが転び、足首を骨折したのです。私は疲れた身体にムチを打ち、唸るエリックを病院の時間外窓口へ連れて行きました。今週がたまたま大学の春休みだったのは、不幸中の幸いといえるでしょう。義父母は好きなだけ実家に居てもいいと言ってくれたのですが、ただでさえ予定遅れになっている引越しをこれ以上引き延ばしたくありません。来週からの通常スケジュールに戻る前に、新しい住み家に少しでも慣れておきたくて、今日エリックを連れてきました。
 さて、引越完了と同時に管理人業も開始。来週からは大学の送り迎えも加わります。新生活は穏やかならぬ幕開けとなりました。この後どうなることでしょうか。まだ片付かない部屋で、新しいソファとエリックは居心地悪そうです。

2008年3月7日金曜日

Made in Japan


 義父母はそれぞれ1台ずつ車を持っていますが、実はどちらもSUBARU。低燃費でトラブルの少ない日本車は、こちらの人々に支持されています。他にも、ボールペンのZEBRA、ゲームのNINTENDOなど、日本製品の品質や独創性が高く評価されています。また、日本食も人気。「寿司を食べる」というのは、ひと昔前の日本で流行った「イタめし(イタリア料理)を食べる」と同様の洒落た響きがあるようで、若い人たちがデートに選ぶ食事です。
 世界一の長寿国でもあるニッポン。何杯でも飲む緑茶、肉よりも魚の食事など、伝統として受け継がれてきた日本の生活様式や食事が、科学的裏づけを得て、今のアメリカで受けています。今後も、ますますMade in Japanの製品と知恵が広まっていく予感。私が博物館で受付をしているときも、興味と親しみを持って声をかけてくれる人が大勢います。
 1月から始めた日本語教室も、このような背景があり、踏み出すことができました。これまでの2ヶ月間で、ひらがなの読み書きと簡単な会話を一通り教えました。今週の授業ではロールプレイで自己紹介から喫茶店でのオーダーまでを演じ、皆、少しずつ日本語で話せるようになってきたことを実感できたようです。私自身も日本の正しい言葉と文化を紹介できるよう、勉強していきたいと思います。

2008年3月2日日曜日

ピザ&ウィングズ


 バッファロー発祥の料理のひとつに「バッファローウィング」があります。素揚げした鶏の手羽先に特製のピリ辛ソースをからめたもの。名古屋の人たちが手羽先を好きなのと同様に、バッファローの人たちも皆バッファローウィングが大好きです。ソースは少し辛めのものを選び、セロリスティックと一緒にいただくのが基本。ピザとの組み合わせは、なんだか身体に悪そうな気もしますが、一度味わったらやめられません。
 先週の引越しを手伝ってくれた同僚のハワードも、典型的なバッファロー人。せっかくの日曜に重労働をお願いするので、多少お金を払うつもりでいたら、断られてしまいました。「友だちなんだから、お金はいらないよ。」「その代わり、ピザ&ウィングズをご馳走してくれればいいよ。」彼のリクエスト通り、家具の移動を終えた午後、ピザとバッファローウィングとビールで少し遅いランチにしました。ヘトヘトのエリックと私を脇目に、まだまだ余裕のハワードは豪快に食べ、ケロッとした顔で帰っていきました。

2008年2月29日金曜日

お知らせ

2月26日付『空っぽの部屋で』に寄せられていたコメントを見られた方へ。

コメントのHEREをクリックすると、ウィルス対策ソフトの広告が自動的に始まる設定になっていたようです。
こちらで確認した限りでは、これ自体はウィルスではないようです。
色んな表示が現れますが、触れずに、そのまま閉じてください。
(そのコメントは、発見後ただちに削除しました。)

今回は私自身もびっくりし、ウィルス感染を心配せずにはいられませんでした。
ご迷惑をおわびするとともに、これからも皆さんに安心してブログを見ていただけるよう心がけますので、よろしくお願いします。

Mari




2008年2月26日火曜日

空っぽの部屋で


 日曜日に、荷物の大半を新居に移しました。前任の管理人さんがまだ暮らしているのですが、顔見知りの気安さで、空いた部屋から荷物を入れさせてもらえることになったのです。実際の入居までにはまだ少しありますが、アパートの契約は月末までなので、今日二人で残りの荷物を実家に運び、一通りの掃除を済ませました。あとは大家さんに鍵を返すばかりです。
 空っぽになった部屋には、いつの間にか満たされていた思い出がいっぱいで、立ち去りがたく思いました。隣の家族の話し声、換気扇のないキッチン、しっかり閉まらないクローゼットのドア…。「ここは仮の住まいだから」と、あきらめたような気持ちで過ごしてきた日々がうそのように、愛しいようなさみしいような複雑な思いです。
 さて、しばらくはまた実家で義父母と同居生活。その間に、先立て迷っていた新居のソファを購入する予定です。新生活も、未定の未来に対する不安を抱えたままのスタートです。安定した生活―これこそが私の望むもの。でも、これを手に入れたとして、次に何があるかは分かりません。心配ばかりして時間を過ごすよりも、未来に向けて準備をしながら、確実な今という時を自分らしく過ごせることが大事だと思えるようになりました。

2008年2月20日水曜日

捨てられない


 2年と少し前、今のアパートに引越してきたときに、実家にあったエリックの荷物を全て移しました。家具など大きいものはほんの数点で、あとは本・小物や衣類でした。エリックは、はっきり言って「捨てられない」性格です。ひとつひとつの品物に思い出があることは、よく分かります。でも、必死で運んだ箱の中から、どうしようもないような物―古い洋服・カセットテープ・半分壊れた電化製品等―が出てくるたび、私は残酷な気持ちがこみ上げてくるのを抑えられませんでした。そして、宣言したのです。「このアパートを出るときには、不要なものは運ばないから!」
 かつては私自身も「捨てられない」性格でしたが、渡米した際やむを得ず色んなものをあきらめました。その少し前には空き巣の被害に遭い、自分が大切にしていたものをほとんど盗られてしまった経験もあります。これがトラウマ(心の傷)となって影響しているのか、物に対して少しドライになったかもしれません。今回の引越は、着々と準備がすすんでいます。古い物の大半は、見切りをつけて処分したり、寄付品を安価で販売する店に持っていったりしました。買物を我慢してきた甲斐もあり、思っていたほど大荷物でなくて済みそうです。
 ふと手を止めて考えます。「物を少なく雑念を少なく、すっきり暮らしたい。」でも、逆に「思いの込められたものに囲まれて、心豊かに暮らせたら…。」そうドライにならないで、古い物は大事に取っておけばいいし、欲しいものは手に入れていけばいい、とも考えられる…。いけない、いけない。こんな考えにひたっていては、荷造りがはかどりません。

写真:アパートのすぐ向かいにあるRichardson Towers。この見慣れた景色とも、もうすぐお別れです。