2009年8月28日金曜日

馴染み


 昼過ぎに引越業者の人たちが荷物の搬出に来てくれました。大きな荷物は日本の実家宛てに発送し、私自身はもうしばらくバッファローに残るという段取りです。結局、ここで暮らしたのは1年半。その前のアパートでも2年余り。日本では引越しの経験がなく、いわゆる転勤族の人たちの話を聞いても「大変そうだな」と他人事にしか思っていませんでしたが、そんな私も今ではこの作業に慣れつつあります。
 引越しはどうしても大変な面が強調されてしまいますが、悪いことばかりではありません。捨てられずにいた書類や衣類は、増えていくばかりのところを、こういう機会に思い切って処分できるのは良いことのように思います。また、異なる間取りや家具の配置を経験してみると、どんな空間が自分に合うのか分かるようになってきます。そして、何よりの収穫は、地域の人と出会い馴染みの場所が増えること。
 教会事務所の人たちが、エリックの滞在中にお別れ会を開いてくれました。名残り惜しい気持ちはあるけれど、いつ遊びに来ても温かく迎えてもらえることを知っているので、そんなに寂しくはありません。今晩からはエリックの実家で生活します。

写真:教会事務所の一階にあるチャペル。4年前の5月、ここで法的婚姻のための式を挙げました。

2009年8月24日月曜日


 今朝、エリックがバッファローを発ちました。寂しいものです。この3週間は家族や友だちも一緒に食事をする機会が多かったのですが、今日は昼食も夕食も一人で黙々と食べました。
 エリックの滞在中に4回目の結婚記念日を迎え、NY州内でささやかな日帰り旅行をしました。Corning(コーニング)という街のガラス博物館は、歴史・美術・科学的な面を兼ね備え、とても興味深いものでした。また、同じ週には義父母の40回目の結婚記念日があり、4人でバッファロー河クルーズに参加しました。楽しい思い出ができ、まだしばらく続きそうな遠距離結婚生活の励みになりそうです。
 お互いに仕事をしながら毎日一緒にいると、ついワガママを言ったりイライラを当たったりしてしまうものです。離れて暮らすことにより、思いやりを持って接することの大切さを改めて知りました。今回は限られた時間の中で、夫婦の絆(きずな)をしっかり確認することができました。

写真:ガラス博物館にあるティファニーのステンドグラス。

2009年8月19日水曜日

夏の香り


 太陽のまぶしい夏を待ち焦がれていたはずなのに、暑い日が続けば「早く涼しくなってほしい」と思ってしまいます。日差しを浴びて喜んでいるのは花壇のバジル。5月に植えたか細い苗は、いつ枯れてしまうのかと心配でしたが、元気に育ってくれました。

レシピ:バジルのペスト
材料:バジル480ml(圧縮状態)、粉パルメザンチーズ180ml、炒った松の実60ml、オリーブオイル120ml、にんにく3片
作り方:全ての材料をフードプロセッサーで混ぜます。
使い方:ショートパスタやゆで野菜にからめたり、蒸した魚の切り身にソースとして添えたり。きれいなグリーンと独特の香りが夏の食卓を彩ります。すぐに変色してしまうので、残った場合は冷凍します。

<今日の天気>
曇りのち晴れ
最低気温67F(20℃)、最高気温79F(26℃)
何日か暑い日が続いていましたが、今日は過ごしやすい一日でした。

2009年8月13日木曜日

荷造り


 管理人を務める教会事務所で後任の人が決まりました。予定よりも任期を延長してもらっていたのですが、それでも今月末には出ていかなくてはなりません。私自身は必要最小限のものだけ持ってエリックの実家に移り、家具を含む引越荷物は業者に依頼して、日本の実家に発送します。
 ここに住んで良かったことは沢山ありました。まず、小さいながらに一軒家であること。立地も良く、生協スーパー・銀行など普段の用足しは徒歩圏内で済ますことができました。そして、事務所の人たちの温かさ。特に私一人になってからは、ランチに誘ってもらったり日々の細かなことを相談に乗ってもらったり、本当に良くしてもらいました。  
 色んな住処で暮らせば思い出も増えて楽しいことのように思われる反面、毎回の荷造りはやっぱり大変です。特に今回は税関手続き等があり、自分ひとりではとても手に負えません。エリックと協力しプロの手を借りて、少しずつ準備を進めています。

写真:ご近所さん

2009年8月6日木曜日

戦争


 戦争を経験していない私にとって、空襲や捕虜や原爆という言葉は恐ろしく響いても、なかなか実感として分からないところがありました。衝撃を受けたのは、広島の平和記念資料館と沖縄のひめゆりの塔。真っ黒に焦げた弁当箱や壊れたメガネなどの展示物は、被爆者たちがその日までそれぞれに生きていた証です。資料を見ているうちに涙がこみ上げ、人前にも関わらず号泣してしまった記憶があります。
 バッファロー郊外の老人ホームで働いていた頃、私を可愛がってくれる老紳士がいました。ある日、勤務を終えてから部屋を訪ねると、若い頃の写真を見せてくれました。その中に軍服姿の一枚がありました。「何十年か前には、あんたの国と戦っていたんだよ。」老紳士は穏やかな口調でそう言いました。
 今、私はアメリカ人と結婚しているし、知っている限りでは日米関係も良好で、普段は戦争があったことなど忘れてしまいます。でも、時折―特にこの時期に―過去を振り返るのは大切なことだと思います。歴史から学び、同じ過ちを繰り返さないことが両国戦没者への一番の供養になると思うから。

2009年8月2日日曜日

10歳


 甥のアレックスが10歳になりました。私も誕生日会に招かれたので、プレゼントを持って出かけました。みるみる成長する甥は、大人の中で一番小柄な私をつかまえて言いました。「もうすぐ追いつくぞ。」
 義父母のところで、姪のマディと過ごしたときのこと。小石にシールを貼る手伝いをしていたのですが、私がその一片を落としてしまいました。床に這いつくばって探す私に、マディが言いました。「大丈夫だよ。見つからなくたって、世界が終わるわけじゃないし。」
 はい、楽しませてもらっています。こんな風に家族や親戚と過ごせる時間は、とても貴重。明日にはエリックもバッファローに来ます。この夏も、たくさんの良い思い出を作っていきたいと思います。