2008年7月22日火曜日

タトゥー


 私の日本語教室で一番積極的な生徒、モーリーン。「あいうえお」の発音練習をするときも、フラッシュカードで単語を覚えるときも、誰より大きな声を出します。職業は美容師で、髪を赤く染め、腕や脚にタトゥー(入れ墨)があります。その彼女が最近こんなことを言っています。
「息子と二人で日本に旅行するために、貯金を始めることにしたの!」
「日本に行ったら、温泉に入りたいワ!」
 授業中に上る話題をもとに、日本文化を紹介するようにしています。モーリーンが温泉のことに触れたとき、一瞬迷ったのですが、入れ墨について話すことにしました。
「日本人の入れ墨は、アメリカ人のタトゥーとは少し意味が違うんですよ。消すことのできないところから、大きな覚悟の象徴となっているようです。最近の若者の間では、ファッションやアートとしても受け入れられつつあるようですが、根強い印象は入れ墨=ヤクザ。公共の温泉やプールでは、『入れ墨お断り』と表示してあるところもあるので、少し意識して行ったほうがいいかもしれませんよ。」
「えー!!」
 私の説明に少し気持ちをくじかれたように見えたのに、翌週また元気よく授業にやって来た彼女でした。ぜひ、日本への旅行を実現してもらいたいものです。