2009年6月18日木曜日

カサブランカ


 アメリカに来て間もない頃、人の輪の中で話をするときに、言葉は分かるのに、なぜ皆が笑っているのか分からないということが何度もありました。多くの場合、本や映画・テレビ番組からの台詞や場面の引用が含まれており、同じ知識のない私には理解できなかったのです。しかも、それが止まるところのない流れの中で次々登場します。いつの間にか取り残されて、無口になってしまうことがありました。
 これに気付いてからは、テレビも時々見るようにしています。会話で取り残されないためというよりは、もう少し広い意味でアメリカ文化を理解するために。例えば、日本で暮らす外国人が「桜吹雪」と聞いて「遠山の金さん」と答えられれば、言葉以外でも日本文化を理解してくれていることが分かるのではないでしょうか。
 アメリカ人の引用によく使われる映画として、知人が『カサブランカ』を紹介してくれました。タイトルは聞いたことがあっても観たことはなかったので、早速DVDを借りました。白黒画面で交わされる男と女の会話の巧み。「君の瞳に乾杯」等、日本語にも翻訳された数々の名台詞は、原語との比較もとても興味深く、何度も繰り返して観てしまいました。