2007年10月12日金曜日

傷あと


 ちょうど1年前のことです。老人ホームの食堂で、昼食の後片付けをしていると、ウエイトレス仲間の一人が外を見て声を上げました。
「あ、雪!」
皆で窓に駆け寄り、思いがけず早く訪れた初雪に、しばらく手を休めました。ボタン雪のように大きな雪が、溶けるよりも速く積もり、駐車場のアスファルトがみるみる白くなっていきます。帰宅する頃には、街中が雪景色に変わっていました。
 その頃は、6時半の出勤に合わせて、毎朝5時過ぎに起床していたのですが、雪道の運転が気がかりで、翌朝は少し早めに起きました。手早く身支度を整え、勝手口を開けてビックリ!雪がひざの高さまで積もっていました。辺りは異様な光景です。まだ紅葉が始まったばかりで落葉していなかった木々の枝が、雪の重さに耐えられず、あちこちでへし折られています。さらに、折れた枝が電線に引っかかり、たるんだ電線が地面に届いているところもあります。それでも、私は、老人ホームで暮らす人たちのことを思うと、出勤しないではいられません。エリックを呼んで車を出そうとしたのですが、駐車場も道路も、手のつけようのないほど、すべて雪と枝で塞がれていました。
「仕方ないよ。」
エリックの言葉に、私は欠勤の電話連絡を入れることにしました。
 それからしばらくの間は、この October Surprise (10月の思いがけない大雪)の話題で持ちきりでした。幸い、私たちの地域は、電気も水道も支障なかったのですが、停電や断水が1週間以上も続いたところ、雪解け水で地下室が洪水になったところなど、深刻な被害の話を聞きました。エリックが教育実習で通っていた市内の高校も、1週間休校になりました。
 この写真は数週間前に写したものですが、去年の大雪が残した傷が、生々しく残っています。木そのものは元気ですが、公園の穏やかな雰囲気と、傷あとが対照的です。これを教訓に、今年は10月に入るとすぐに、ヒーターのフィルターを交換し、ペットボトルの水や缶入りのスープなどを買い込みました。